2021年は特別な意味を持つ一年です。2021年は、中国が小康社会(ややゆとりのある生活ができる社会)を全面的に実現する年であり、建党100周年であり、「第14次五カ年計画」の幕開けの年です。3月11日、第13期全国人民代表大会第4回会議において、「中華人民共和国国民経済・社会発展第14次五カ年計画および2035年までの長期目標の綱要」(以下、「第14次五カ年計画」)
を審議・可決し、今後5年から15年にわたる国民経済および社会発展について体系的な計画と戦略立案を進めました。「第14次五カ年計画」は、今後5年間の発展を重視するのみならず、2035年までの中長期計画も考慮に入れて中国経済の中長期的な発展にとって極めて重要な役割を果たします。現在、世界は100年に1度の未曽有の大変革期を迎えており、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界経済にさらなる衝撃を与えています。
一方、新たなテクノロジー革命は従来の経済、産業モデルを次々に覆し、デジタル・トランスフォーメーションが加速し続けています。複雑に変化する外部環境および新型コロナウイルス感染症の長期的な影響に直面する中、中国経済の構造転換・アップグレードという課題に向けて、中国がいかに新しい発展段階に立脚し、新しい発展理念に徹底し、新しい発展局面を構築するかに関して、「第14次五カ年計画」が、中国の政策の方向性を分析し、
将来の発展動向を把握するガイドラインとなることは間違いないでしょう。実体経済は国の生命線であり、実体経済をより良く、より強く発展させることは、中国が高品質な発展を遂げるための重要なポイントとなります。特に、新型コロナウイルス感染症の衝撃に直面した中で、中国の製造業は強靭性を示し、国内経済のいち早い回復を後押ししました。「第14次五カ年計画」の経済発展目標では、サービス業の比率を高めることが削除され、代わりに製造業の比率の安定化を掲げています。自動車産業は製造業の中でも重要な位置を占めており、
その産業チェーンは長く、カバー範囲が広く、関連産業も多いため、産業の成長を牽引する上で非常に重要な役割を果たしています。本レポートでは、主に製造業および自動車産業に焦点を当て、「第14次五カ年計画」に記載された施策および戦略的思考に対して踏み込んだ分析を行った上で、業界にもたらされるビジネス・チャンスと課題を洗い出し、業界の第14次五カ年計画期間中の見通しについて詳細に解説することにより、企業が業界の勢力構造のアップグレードおよび劇的な変化からもたらされるチャンスを企業が掴めるようにサポートします。